いじめ防止基本方針
聖南中学校いじめ防止基本方針
令和5年3月策定
1 いじめの防止についての基本的な考え方
いじめは、いじめられた生徒の心身に深刻な影響を及ぼす許されない行為である。また、どの生徒も被害者にも加害者にもなりうる。これらの基本的な考えを基に教職員が日頃からささいな兆候を見逃さないように努めるとともに、学校全体で組織的に対応していく。いじめは、重大な人権侵害事象であるという認識のもとに、いじめ防止推進法(以下「法」という。)第13条の規定に基づき、学校いじめ防止基本方針を定める。
2 いじめ防止対策組織
いじめ防止対策組織としては、生徒指導・いじめ対策委員会がその役割を担う。いじめのささいな兆候や懸念、生徒からの訴えを、特定の教員が抱え込むことのないよう組織として対応する。また、必要に応じて、外部専門家(スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等)の助言を得る。
(1)「生徒指導・いじめ対策委員会」の役割
① 「学校いじめ防止基本方針」に基づく取り組みの実施と進捗状況の確認
・学校評価アンケートから学校におけるいじめ防止対策の検証を行い、改善策を検討していく。
② 教職員への共通理解と意識啓発
・年度初めの職員会議で「学校いじめ防止基本方針」の周知を図り、教職員の共通理解を図る。
・「学校生活アンケート」や「アセス」、教育相談の結果の集約、分析、対策の検討を行い、実効性があるいじめ防止対策に努める。
③ 生徒や保護者、地域に対する情報発信と意識啓発
・学校だよりやホームページ等を通して、いじめ防止の取り組み状況や学校評価結果等を発信する。
・犯罪行為として取り扱われるべきいじめに対して、学校は直ちに警察に相談・通報を行い、適切な援助を求めていくことを、保護者等に対して、あらかじめ周知する。
④ いじめ事案への対応
・いじめがあった場合、あるいはいじめの疑いがあるとの情報があった場合は、正確な事実の把握に努め、問題の解消にむけた指導・支援体制を組織する。
・事案への対応については、「生徒指導・いじめ対策委員会」を中心に学校体制で迅速かつ効果的に対応する。また、必要に応じて、外部の専門家、関係機関と連携して対応する。
・問題が解消したと判断した場合も、その後の児童の様子を見守り、継続的な指導・支援を行う。
3 いじめの防止等に関する具体的な取り組み
この基本方針と筑北村教育委員会(以下「教育委員会」という。)策定の「いじめ予防等のための基本的な方針」をもとに取り組んでいく。
(1)いじめの未然防止の取り組み
① 生徒同士の関わりを大切にし、互いに認め合い、ともに成長していく学級づくりを進める。
② 生徒の活動や努力を認め、自己肯定感を育む授業づくりに努める。
③ 教育活動全体を通して、道徳教育・人権教育の充実を図るとともに、体験活動を推進し、命の大切さ、相手を思いやる心の醸成を図る。
④ 情報モラル教育を推進し、児童がネットの正しい利用とマナーについての理解を深め、ネットいじめの加害者、被害者とならないよう継続的に指導する。
(2)いじめの早期発見の取り組み
① 学校生活アンケート(年3回)や「アセス」、教育相談などを定期的に実施し、生徒の小さなサインを見逃さないように努める。担任以外の教育相談も実施する。
② 教師と生徒との温かい人間関係づくりや、保護者との信頼関係づくりに努め、いじめ等について相談しやすい環境を整える。
③ 相談箱の設置など、生徒が日頃の悩みを直接伝えられる環境を整える。
④ 「チャイルドライン」、「SNSを活用した相談」等、校外相談の紹介、周知を図る。
(3)いじめに対する措置
いじめを受けた生徒やいじめを知らせてくれた生徒の安全を確保したうえで、教職員は一人で抱え込むことなく、速やかに「生徒指導・いじめ対策委員会」に、当該いじめに係る情報を報告し、学校の組織的対応につなげる。学校の特定の教職員が、いじめに係る情報を抱え込み、当該組織に報告を行わないことは、法第23条第1項の規定に違反することを全職員が共通理解する。
① いじめの発見・通報を受けたら「生徒指導・いじめ対策委員会」を中心に組織的に対応し、速やかにいじめの事実の有無の確認結果を教育委員会に報告する。
② 被害児童を守り通すという姿勢で対応する。
③ 加害児童には教育的配慮のもと、毅然とした姿勢で指導や支援を行う。
④ 教職員の共通理解、保護者の協力、スクールカウンセラーやこどもサポートセンター等の支援・指導や警察署、児童相談所等の関係機関との連携のもとで取り組む。
⑤ いじめが起きた集団への働き掛けを行い、いじめを見過ごさない・生み出さない集団作りを行う。
⑥ 重大事態や犯罪行為として扱われるいじめは、速やかに警察と連携して対応する。
4 重大事態への対応
学校は、事実関係が確定した段階で法第28条第1項に規定する重大事態としての対応を開始するのではなく、「疑い」が生じた段階で調査を開始する。また、不登校重大事態の場合は、欠席の継続により重大事態に至ることを早期の段階で予測できる場合も多いと思われることから、重大事態に至るよりも相当前の段階から教育委員会に報告・相談するとともに、迅速かつ適正に組織的対応をする。
(1)学校の対応
① いじめられた生徒の安心・安全の確保
「あなたは悪くない、必ず守り通す」というメッセージを伝え、安全・安心を確保し、学習等が安心して行える環境を整備する。スクールカウンセラー等による心のケアを継続する。
② 発生直後に、法第28条第1項による教職員の共通理解、対応チームを組織する。
③ 関係児童生徒への事実確認と関係児童の保護者への迅速な連絡、連携した支援・指導を行う。
④ 関係機関等(警察・医療・消防・教育委員会・PTA等)への支援の要請、連携体制構築を行う。
⑤ いじめた児童生徒への指導
いじめを完全にやめさせるために、毅然とした対応をして自分の行為の責任を自覚させる指導を、健全な人間関係を育むことができるような配慮のもと継続して行う。
(2) 教育委員会又は学校の対応
① 重大事態発生時の報告
重大事態が発生した場合、法第30条第1項に基づき、学校は教育委員会に報告し、教育委員会は村長に報告を行う。
② 重大事態の調査
(ア)調査の主体の判断
教育委員会は、今までの経緯や事案の特性、いじめられた生徒の保護者の訴えなどを踏まえて調査の主体を判断する。学校の教育活動に支障が生じるおそれがある場合や、学校主体の調査では十分な結果が得られないと判断した場合は、教育委員会が調査の主体となる。
(イ)調査組織
・調査にあたっては、弁護士や精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家等の専門的知識及び経験を有する者であって、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)の参加を図り、公平性・中立性・客観性を確保する。
・学校又は教育委員会における調査組織の設置について県教育委員会からの指導・助言を受けるとともに、専門的知識及び経験を有する者の候補者について情報を得る。
・学校が調査の主体となる場合は、「学校におけるいじめの防止等の対策のための組織」を母体として、事態の性質に応じて専門家を加える。また、教育委員会は調査を実施する学校に対して必要な指導、また、人的措置も含めた適切な支援を行う。
(ウ)調査の実施
・調査の目的は、当該事態への対処と同種の事態の発生を防止するためである。
・因果関係の特定を急がず、アンケート調査、生徒や関係者への聴き取り等を行い、客観的な事実関係を速やかに、可能な限り網羅的に明確にする。
・調査の主体(教育委員会又は学校)は調査組織による調査に全面的に協力し、事実にしっかりと向き合う。
・生徒の自殺という事態が起こった場合は、遺族の気持ちに十分配慮しながら、亡くなった生徒の尊厳を保持しつつ、その死に至った経過を検証し、再発防止策を構ずることを目指す。背景調査については、「国の基本方針」の(自殺の背景調査における留意事項)を十分配慮したうえで、「子どもの自殺が起きたときの調査の指針(改訂版)」(平成26年7月文部科学省)を参考とする。
③ 調査方針及び結果の提供及び報告
(ア)いじめを受けた生徒や保護者への情報提供
・調査実施前に、被害生徒・保護者に対しては以下の各事項について説明する。
① 調査の目的・目標
② 調査主体(組織の構成、人選)
③ 調査時期・期間(スケジュール、定期報告)
④ 調査事項(いじめの事実関係、教育委員会及び学校の対応等)・調査対象(聴き取り等をする児童生徒・教職員の範囲)
⑤ 調査方法(アンケート調査の様式、聴き取りの方法、手順)
⑥ 調査結果の提供(被害者側、加害者側に対する提供等)
・教育委員会又は学校は、調査により明らかになった事実関係を適時・適切な方法で説明する。そのため、いじめられた生徒及びその保護者と定期的に連絡を取り合い、調査の経過や見通しを知らせておく。
・関係者の個人情報に十分配慮する。ただし、その保護を理由に説明を怠るようなことがないようにする。
(イ)調査結果の報告
・教育委員会及び学校は、筑北村個人情報保護条例等に従って、被害生徒・保護者に情報提供及び説明を適切に行う。
・教育委員会又は学校は、調査結果についても重大事態発生時の報告のように村長に報告する。その際、いじめを受けた児童生徒又はその保護者が希望し、調査の報告に対する所見をまとめた文書を提出した場合は、それを調査結果の報告に添える。
・ 調査により把握した情報の記録は、原則として筑北村文書管理規則等に基づき、これらの記録を適切に保存するものとするが、指導要録の保存期間に合わせて、少なくとも5年間保存することが望ましい。
④ 調査結果を踏まえた措置
・教育委員会は、調査結果において認定された事実に基づき、いじめの未然防止、早期発見、対処、情報共有等の学校の設置者及び学校の対応について検証し、再発防止策の検討を行う。
・教育委員会は、専門家の派遣による重点的な学校支援、教職員の配置等人的支援の強化、心理や福祉の専門家など外部人材の追加配置等を行い、積極的に学校を支援する。
5 学校の取り組みに対する検証・見直し
(1)学校いじめ防止基本方針をはじめとするいじめ防止の取り組みについては、PDCAサイクル(PLAN→DO→CHECK-ACTION)で見直し、実効性のある取り組みとなるよう 努める。
(2)いじめに関する項目を盛り込んだ教職員による取組評価及び保護者への学校評価アンケートを年に1回実施し、生徒指導・いじめ対策委員会でいじめに関する取り組みの検証を行う。
6 その他
(1)いじめ防止に関する校内研修を年2回以上計画し、いじめ対応に関する教職員の資質向上に努める。
(2)「学校いじめ防止基本方針」は年度当初にホームページに掲載し、保護者への周知を図る。
(3)長期休業の前後に指導を行い、休業中のいじめ防止や早期発見に取り組む。